大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)723号 判決

原審証人増田なみの証言(第三回)によれば被控訴人が昭和二十四年三月頃控訴人朴栄河を介して控訴人鈴木升子に対し右期間満了後引続き賃貸することを拒み以てその更新拒絶の意思表示をしたことを認め得べく、原審に於ける証人増田なみ(第一乃至第四回)、増田しげこ、美濃和三造の各証言及び被控訴本人訊問の結果を綜合すれば、被控訴人は控訴人鈴木の亡夫とその生前懇親の間柄であつた関係上同控訴人を援助する為前記の通り本件家屋を賃貸したものであるところ、同人は被控訴人が承諾を拒んだに拘らずその後右家屋の座敷の窓及び出入口等の改造をし、又昭和二十三年四月以降の賃料を或は控訴人等が被控訴人に売つたことのある密柑の既に支払済なる代金、或は被控訴人に負担義務のない電燈料電話料等を相殺したと称して支払わないこと、被控訴人は妻、養女及び長男と共に合計四名で六疊及び三疊の二室より成る家屋に居住しているけれども、同家屋が狹隘な為右養女に既に定まつている婿を迎えることができず、尚右家屋の所有者からはその弟を居住させる必要があるとの理由で明渡を要求されつつあり、之等の事情の為本件家屋を自ら使用すべき必要に迫られていること等の事実を認めることができ、原審に於ける控訴人等各本人の供述中右認定に反する部分は信用し難く他に右認定を覆えすに足る資料は存しない。而して控訴人鈴木が右認定のように被控訴人が承諾を拒絶したに拘らず家屋の改造を行い、又賃料の支払をしなかつた事は賃貸人たる被控訴人との間の信頼関係を害するものと言うべく、同控訴人の側に特別の事情あることの認め難い本件に於ては以上認定の各事実は被控訴人が前記賃貸借の更新拒絶をするに付借家法にいわゆる正当の事由ある場合に該当するものと解さなければならない。

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